令和3年度 一般会計反対討論

当初予算の反対討論です。

本共産党の尼寺です。ただ今議題となっています。議案乙第6号 一般会計予算について反対討論を行います。市長の予算提案理由によると、「我が国経済の先行きについて、感染拡大の防止策やワクチン接種を講じる中で、各種政策の効果などもあって持ち直しの動きが続くことが期待できる」とあります。

その一方で、「本市においては、歳入面では新型コロナウィルス感染症による市税の大幅な減収が見込まれる」とあり、市税については前年と比較して11.1%、14.5億円の減収を見込んでいます。

このように一見矛盾する見方が示されていますが、とりわけ注視すべきは、当初予算の歳入面ではコロナ禍の影響を見込んでいる一方、歳出面ではコロナ対策関連の予算は、消毒液など需用費を除くと殆どない事です。

この件について執行部からは「3月補正と当初予算を一体的に行う」。「コロナ対策費は基本的には3月補正で計上している。」また「地方創生臨時交付金が1億8000万円ほどあり、本省繰り越しという制度を活用して、来年度の経済状況や感染状況をよくみて必要な部分を適切なタイミングで活用する」といわれた。

これらの執行部の考えについてはいくつか疑問点があります。まず「補正と当初予算を一体的に行う」といわれましたが、3月補正はあくまで令和2年度予算の補正であって、令和3年度の補正予算ではありません。

またその中身であります。3月補正予算中のコロナ対策予算ですが、専決処分も含めて2.5億円で、ワクチン接種分を除けば8500万円です。補正と当初予算を一体的に行うという事ですが、当初予算のコロナ対策費はほぼゼロですので合わせても2.5億円程度で本省繰り越し分の1.8億円をプラスしても、昨年4月に専決処分された予算80.6億円と比べると大きく減っています。

この予算でPCRの社会的検査も、医療機関への減収補填も、事業や雇用を継続できるだけの十分な支援などを賄えるでしょうか。ワクチンがでてきたから、今年はこれ以上必要ないという判断されたからでしょうか。

ところで昨年4月からこの3月までのコロナ対策費は総額で93.7億円、このうち国からの支出金は86.5億円で全体の92%、市の独自対策費はわずか6%にすぎません。

さて本市の3月補正予算の中のコロナ対策予算は、国の第3次補正予算をうけてのものですが、国は第3次補正予算を決めた地点で、緊急事態宣言を行う事態になる事は一切想定しておらず、政府の想定を超えて感染が拡大しているもとで、今や現実に合わないものとなっています。その内容は go-to-トラベルや国土強靭化推進などの「ポストコロナ」が中心で、3次補正19兆円のうち「コロナ感染拡大防止策」はわずか4.3兆円、全体の2割にしかすぎません。だから本市のコロナ対策費も質量ともに限定的になったと思われます。

また国の令和3年度当初予算についていえば驚くべきことに具体的な使い道の決まったコロナ対策予算は殆どありません。「国立感染症研究所や全国の保健所の人員増や小学校の35人学級」などの予算はありますが、いずれも今後何年か、かけて実施していこうというもので、足元のコロナ対策ではありません。

この件について、政府は本市と同様に「今必要なコロナ対策予算は、R2年度の第3次補正予算に計上している」と、また「当初予算は、通常の経費を計上するもので、コロナ対策予算は臨時的な経費だから補正予算で対応する」ともいいます。しかし政府自身平成30,31年度の消費税増税に伴う「臨時・特別の措置」と称してポイント還元とかプレミアム商品券などを本予算に計上しました。本市もそれに応じて当初予算に組みました。ポイント還元と違って、コロナ対策予算は国民にとって極めて必要な予算であり、当初予算に計上するのは当然ではないでしょうか。

ところで、日本共産党は立憲民主党とともに、国会に予算組み替え動議を1月に提案しました。国民民主党も賛成しましたが、残念ながらこの提案は自民・公明・維新などの反対で否決されました。医療機関への減収補填や検査の拡大、生活困窮者やひとり親への給付金、持続化給付金・家賃支援給付金の再給付、自治体への支援などで総額17.9兆円になります。仮にこの組み換え動議が可決されていれば、鳥栖市のコロナ対策費もけた違いの額になり状況も大きくかわったと思います。

国はこの21日に首都圏の緊急事態宣言を解除しました。「もう打つ手がないから宣言を続けても仕方ないから解除した」との報道もあります。現状は新規感染者数が下げ止まっただけでなく増加傾向にあり、変異株の流行拡大が重大な懸念材料になっています。政府や市の対応をみると、ワクチンがあるから、もう大丈夫だ、もうすぐ収束するという考えが根底にあるように見えます。

国会に参考人としてよばれた事もある医療ガバナンスの上昌弘医師は、「コロナウィルスには季節性があり、1月と8月にピークを迎える。このままでは今年の夏 変異株の大流行はさけられない」と警鐘をならしています。愛媛県知事は「今第4波の入り口にたっている」といっています。

今一番問われているものは、「コロナ封じ込めのために大規模な検査、医療機関に対する十分な減収補填、事業や雇用を継続できるだけの抜本的な補償と支援」であり、それを財政的に補償する予算であります。ところが、国も本市もそのための十分な予算を組んではいません、この事が本予算に反対する大きな理由です。

次に各論についていくつか申し上げます。

まず教育関係です。執行部から、就学援助費について「コロナ禍による伸びをいれてはいない」とありました。また「家計窮迫」の場合、前年の所得ではなく、本年度の所得でも対応はする」という記述をHPにのせる。さらに対象費目の拡大、PTA費、クラブ活動費などについても「前向きに検討したい」との答弁があった事は評価するものです。

特別支援学級についてです。「在籍児童生徒数は、小中あわせて平成30年度で409名、来年度で612名となり、実にこの4年間で1.5倍ふえている」とあり、「今後の動向はまだまだ読めない」と。さらに「来年度から段階的に小学校が35人学級になる。子どもの数は今後減っていくが、今後教師や施設の確保が大きな課題となってくる」といわれた。

放課後児童クラブの待機児童についてです。市長は任期中の早い時期に解消する。また子ども子育て支援事業計画では、令和4年度、つまり来年度には解消することになっています。しかし現状はまだまだのようで、「努力はする」といわれたが、令和4年度に解消するという予算にはなっていないといわざるをえません。

高齢者福祉についてです。

この間、専門職の配置や行政組織の見直しがありました。このことについては率直に評価するものです。かたや、高齢者のごみ出し支援は、今後検討中で予算化されておりません。これはわたくしどもが10年も前から介護保険の隙間を埋めるものとして提案し、他の多くの市町で実施されている生活支援サービスの一つです。第9期の高齢者福祉計画は「自助」・「互助」の役割を一層高めとあり、公助の役割を縮小することが記述されています。公助こそ一番に来るべきであり、閉じこもりにつながる誤ったメッセージを送ることになります。これでは基本理念である「誰もがいきいきと暮らせる住みよい地域」を実現することはできません。

次に、子育て支援についてであります。

鳥栖市では現在、保育所、入所調整中とのことですが、今後も入所待ち児童解消の見通しは不透明です。市長がかつて答弁された、前例にとらわれない保育士確保策を講じない限り、課題となっている入所待ち児童の解消も、保護者の切実な願いである休日保育、病児保育などの特別保育の拡充も進みません。文字どおり、鳥栖ならではの思い切った確保策を講じない限り、この入所待ち児童の解消はできません。

次に次期広域ごみ処理施設関連予算についてです。

令和3年度予算には鳥栖市地域環境整備基金を使った真木町の井堰改修費と公民館改築のための設計費が交付金事業として計上されています。真木町からどういう要請があったのか。それに対し鳥栖市はどういった回答をしたのか、市民からの情報開示請求にも答えないまま、その都度関係予算を計上するやり方をとっています。全体でどれくらいの予算規模になるのか。終わってみなければわからないでは、議会の重要な役割であるチェック機能を果たせません。改めて情報開示を求めるものです。

次に市営住宅についてであります。

築50年以上経過した神辺市営住宅の現状は、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅をという公営住宅法の精神から、余りにもかけ離れたものになっております。そのうえ、この市営住宅は、他の市営住宅で行われ、令和3年度予算にも計上されている希望者への浴槽の取り換えを含む給湯設備改修工事の対象からも外されています。事前アンケートでは4割もの希望者があったにもかかわらずです。公営住宅としてある以上、他の市営住宅同様の取り扱いをすべきであり、しないのは明らかな差別であることを指摘しておきます。

最後になりますが、同和関係予算についてです。

令和3年度も、全日本同和会鳥栖支部にこれまでと同額の補助金400万円が計上されております。同和会鳥栖支部の構成員は12世帯28名、1世帯当たり年間33万円にもなります。同和会鳥栖支部の令和元年度の決算書によれば決算総額の82%を占める市補助金に対して、会費はわずか2.8%の13万4400円で、行政丸抱えの補助金です。400万円の根拠は何か。活動の実態はあるのか。納得のいく答えは返ってきません。鳥栖市が補助金交付の根拠としている行政の補完的役割としての調査活動、収支報告書の諸調査活動費の項目の、地対事業量調査など既に失効した法律、地域改善対策事業特別措置法から引いてきたと思われるものがあります。どの地域を対象にどんな調査をどのようにしてやったというのでしょうか。

これまでも同和会鳥栖支部の活動実態や金額の根拠、その必要性、使途の明細など尋ねてまいりましたが、執行部からは明確な答弁が返ってきたことはありません。さらに、同和会鳥栖支部が鳥栖市に提出した予算決算などの報告書が支部の総意を経て提出されたものなのかの疑念も出てきました。鳥栖市は、総会の開催の有無も確認できていません。またこの補助金を支出するにあたって、事業が終わって支出するべき補助金を、特例により年度当初に1部前金払いをしています。しかしなぜ前金払いが必要なのか。その理由を尋ねても相手方が必要と言っているからというだけでまともな答えは返ってきません。

このように、この同和会鳥栖支部への補助金400万円は、提出された予算書・決算書等を精査することなく、引き続き本年度と同額を交付しようとするものであり、認めるわけにはまいりません。そのほか同和会鳥栖支部関連の予算には大阪、東京などへの同和会研修会や大会を含む職員の参加旅費46名分があります。同和関連予算の特別扱いはやめよ。説明できない予算は計上するなと、改めて申し上げておきます。

以上で、反対討論を終わります。