総事業費が73億円から92億円に こんな予算は認められない

4月13日に臨時議会が招集された。専決処分の承認と一般会計補正予算ーリサイクル施設の使用延長をすることになったみやき町へ

の協力金7500万円などがある。さらに産業団地造成特別会計予算ー新産業集積エリア事業の事業費。この予算については、共産党議員団だけが反対した。

<成富議員の反対討論から>

今回の補正予算には新産業集積エリア整備事業の進捗を図るためとして、水質調査及び造成工事に要する経費などが計上されています。

市長は、市農業委員会の意見を「重く受け止める」といわれていますがこれまで、私たちの、急がば回れ。法令に従い農地法違反の解消を。その方が結局は早道との提案には耳を貸さず、ただただ農業委員会に「追認」を迫ってきました。追認」といえば聞こえはいいが、これはわかりやすく言えば、間違いを犯した側が開き直って「よかろうが。このまま認めろ」と言っているのと同じです。こうした経緯を経て提案された予算を認めるわけにはいきません

鳥栖市農業委員会は、鳥栖市からの鳥栖市産業団地造成のための農地転用許可申請について今回の転用申請については採決により不同意とし、県知事には転用許可については厳しく慎重な判断をしていただきたい」ということを総合意見とした意見書を県に提出されました。

また、その他の参考事項には、「市農業委員会として、市に対して現在の違法な登記を是正するため、これを元の所有者名義に戻すように要求してきたが、今回それがなされないままに申請が行われたことは誠に遺憾である。また鳥栖市は農地法違反を認め農業委員会から指導を受けても違反をずっと続けており、この罪は大変重い。法令違反をなんとも思わない、市民を無視する鳥栖市は信用できないという意見が審議の中で各委員から出されてとあります。

これまでの市長の一連の対応は著しく行政の信頼性を損なうものであると指摘しておかなければなりません。心ある市職員は、この間のやり方に心を痛めています。

今回総事業費が73億円から92億円に増加した主な理由と金額は労務単価などの上昇による増加が約10億円、資材単価等の上昇による増加が6億円、償還金利子見込の増加が2億円、そして完成を急ぐための手法として採用した分割造成による諸経費の増加約1億円。いずれも事業が遅延した事がその原因であることは間違いありません。

鳥栖市は、自らが農地法違反を犯した立場でありながら、県に働きかけつつ、鳥栖市の農業委員会には「追認」を迫ってきました。

急がばまわれ、法令に従い、「登記を元に戻して、転用許可申請を」していれば、これ程の事業の遅れを招くことはなかったのではないか。事業費が増えれば、それはそのまま企業が購入する際の価格に跳ね返ります。25%もの増です。広大な面積を1つの企業に販売するというが、買い手はすんなりと見つかるのか。この事業に税金は入らないというが、大丈夫なのか。

鳥栖民報1616

今回の転用申請は不同意とし・・・ 「農業委員会会長」

3月議会 尼寺議員は、新産業集積エリに関する農地法違反問題をとりあげた。2月に開かれた農業委員会では、市からの許可申請が圧倒的多数

で「不同意」との採決なされたが、この件について会長と市長に、それぞれの見解と今後の進め方について質問した。

尼寺議員 2月に開かれた農業委員会において、許可申請が1対9の大差で不同意との採決があったが、県に提案した意見書の内容は

農業委員会会長 農業委員会として「今回の転用申請については採決により不同意とし、県知事には転用の許可については厳しく、慎重な判断をしていただきたい」ことを総合意見とした意見書を提出した。

尼寺議員 追認という手法が農業委員会において認められなかったわけだが、市長の受け止めは

橋本市長 本市としては、「登記を戻さずに農地転用申請をし、受け付けていただく方法(追認)」としてきた。真摯に受け止めなければならないと認識している。

尼寺議員 市の方針が農業委員会では認められなかった、つまり市長が不信任を受けたという認識はあるのか。

橋本市長 真摯に受け止めなければならないという認識はしています。許可権者である県が農地法に基づいて判断されるのでその判断を待ちたい。

尼寺議員 農業委員会においても、農地法違反の是正がないまま、農業委員会が申請書を受理することは法令に反するという意見があったと聞くが、どうか。

農業委員会会長 必要書類及び必要箇所の記載などに不備がないことなどが申請受理の条件になっており、受理しました。

尼寺議員 添付書類は「土地登記事項証明書、排水同意書、委任状」など28件あって、いずれもその有効期限は3か月以内のものと記載されているが、どうか。

農業委員会会長 全部事項証明書などの公的機関が発行したものは3か月以内、その他のものは、直近のものをお願いしている。

経済部長 市農業委員会と確認の上有効期限以内のもとを添付して申請しました。

尼寺議員 委任状は、地権者の方から誰も出していないと聞く。排水同意書は幸津町からは出されていないし、下野町からは平成29年に提出したものであり、それも今年の2月に撤回されている。

経済部長 排水同意書については市農業委員会に確認の上、添付せずに申請させていただいた。下野町からの排水同意書については直近のものを添付しました。

・・・

申請添付書類は3か月以内とあるが、平成29年に提出されたものが直近のものといえるだろうか。また委任状を受理したかどうかについては答弁がなかった。自ら決めたルールを簡単に破っていいのか。かつて「追認は、民間なら決して許されないのに市役所ならば許されるのか」と、佐賀新聞が報道したが、こういう声にどうこたえるのか。

▼農地法違反問題

H28年、新産業集積エリア事業において鳥栖市が用地取得をする際、農地転用許可を受けずに所有権移転登記を行う農地法違反を犯した。市は登記を元に戻さずに転用申請をして、市の条委員会に申請を受理してもらう(追認)という手法をとった。一方農業委員会は農地法において追認許可の法的根拠は示されてないとして、追認は容認しないとしてきた。

▼ 2月に県に提出した鳥栖市農業委員会の意見書(大要)

・今回の転用申請については採決により不同意とし、県知事には転用の許可については厳しく、慎重な判断をしていただきたい。

・市農業委員会として、市に対して現在の違法な登記を是正するため、これを元の所有者名義に戻すよう要求してきたが、今回それがなされないままに申請が行われたことは誠に遺憾である。

・この手法(追認)もある意味では理解できるが、ここに行き着くまでに通用の方法による違反状態の解消について何ら実行することなく、そのままかなりの年数が経過していること自体、そこに鳥栖市が取り組んだ努力の形跡がなんら存在していない。

  • 鳥栖市は農地法違反を認め、農業委員会から指導を受けても違反をずっと続けており、この罪は大変重い。法令違反をなんとも思わない、市民を無視する鳥栖市は信用できない。

▼ 鳥栖市臨時議会開催へ

4/5に開催された議会各派代表者会で、市長から新産業集積エリア整備事業に係る予算を提案するために、4/13に臨時議会を招集したいと。その理由として「県から、『許可申請の審査はほぼ終了したが、許可要件の一つとして、造成にかかる予算の議決書が必要』との指導があった。市として農地転用の許可を受けることで、農地法違反の是正をはかり、この事業を推進するため」と。なお総事業費は、当初の73億円から92億円に増加するとの説明もなされた。

 

鳥栖民報1615